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<レポート>平和ってなんだろう~軍隊を捨てた国コスタリカから考える~

2016.10.29 | カテゴリー:信州自遊塾NEWS

【2016年7月24日(日) 松本市Mウイング】
日本同様に憲法で常設軍を廃止すると定め、日本と違って実際に持っていないコスタリカについての講演会。
平和の種をまく会などによる「足立力也さんのお話を聞く会」の主催に共催する形で実現しました。

日曜の夜という時間帯にもかかわらず、86人も参加頂きました。若い方や中信地区以外の遠くから来られた方も多かったです。

講師は、日本でのコスタリカ研究の第一人者で、岩波書店など出版のコスタリカに関する書籍を何冊も著作している足立力也氏です。

コスタリカってどんな国?

  • 中米、パナマの北に位置している
  • 美しい鳥ケツァール・ハチドリなど野生動物や、生物多様性を守る国としても有名
  • 人々はのんびりしている。

どうやって軍隊をなくしたか?

前置き:単に『軍隊をなくした』ということ以上に、もっと大事なことがある。

  • 1948年、大統領選をめぐる内戦が勃発
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  • 国民が、軍隊・戦争はもういやだと思っていた。
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  • 権力を掌握した反政府勢力が武装放棄し、軍隊の廃止を提案(負けた政府軍の武装を解除することで、今後のクーデターや武力闘争を回避した)
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  • 議会で、憲法に規定された。
    「恒久的制度としての軍隊は禁止する」

軍隊がなくても紛争に巻き込まれなかった理由は?

  • 国境を接するニカラグアから2度侵攻があった。
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    米州機構への提訴など素早く外交の場に持ち込んで切り抜けた。
    「集団的安全保障体制」を活用⇔「集団的自衛権」とは異なる
  • 1980年のニカラグアの内戦で、共産主義を敵視する超大国アメリカに付くか、革命を成功した隣国政府側に付くか、難しい選択を迫られた
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    第3の選択肢として、「積極的・永世・非武装・中立宣言」をして切り抜けた。「積極的」・・紛争者の仲介を行い紛争を解決しようとすることで、スイスなどに比べて積極的
  • その後、大統領選挙で、再軍備を主張する候補と非武装を貫く候補が激戦となった
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    その明確な争点(日本の選挙と違う点)について国民が平和的に議論を闘わせ、非武装派が逆転勝利
  • 他国の内線紛争の仲介を、権力者(男性-戦いたがる)の妻達を集めて会談して解決(「ママさん外交」
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    ノーベル平和賞受賞

国民の意識(インタビューのビデオから)

  • 軍隊がなくても周りの国が助けに来る・話し合いで解決できる
  • 軍隊がなくて幸せ
  • 警察でもうっとおしいのに軍隊はもっとイヤ

平和構築の土台

  • 軍隊がなくなったのはスタートライン。あってもなくても紛争は起きる。
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    真の人権・自由・民主主義が大事

  • 米州機構など国際的枠組みを活用、なければ作る-米州人権裁判所を30年かけて国内に誘致した。そのために自国の刑務所での人権問題を提訴した。
  • 人権先進国:刑務所には塀がなく、受刑者が人間らしく扱われる。
  • 環境先進国:①再生可能エネルギーが発電の99% ②昨年のパリでの気候変動枠組条約COP21の取りまとめ役で活躍した事務局長は、コスタリカの軍隊をなくした大統領の娘
  • 平和教育:環境の上に民主主義、その上に人権という図式を、10歳の子供に教えてもらった。
  • 平和の「輸出」:もう一つの隣国パナマも軍隊を廃止
  • 選挙はお祭りのよう - 民主主義=楽しい

質疑応答

とてもわかりやすかった足立さんのお話の後で、的を射た質問が次々に出ました。

コスタリカ国内の現状の問題は?

ニカラグアからの難民や、「新自由主義」の台頭で貧富の差が拡大している。先住民差別・女性へのDVなどの問題もある。
浸透している民主主義も未完(ゴールはない)。なお、コスタリカの民主主義にはアメリカも注目し、民主主義の広告塔にしている。

凶悪犯罪は?

ある。人口比では日本より多い。
コスタリカは世界で4番目に死刑を廃止した国。加害者が罪を犯すのは人権を侵害されたからで、誰でも犯罪を犯す可能性がある、と考えられている。

宗教や人種的背景は?

カトリック信者が8割ということもあり、他の国も「兄弟」-兄弟愛を重んじる。
人種は、先住民・白人・黒人(元奴隷)だが、ラテンアメリカは、混血により肌の色はグラディエーションになっている。

サンマリノなど、他に世界に軍隊のない国は?

27あり、少しずつ増えている。

コスタリカは、政権交代が1期4年か2期8年ごとに起きているが、その理由は?

与党が駄目なとき、別の選択肢が常にあると国民が思っている。
日本は選挙制度にも問題があると思う。

講座を終えて

写真のように、多くの方が熱心に聞いていました。今の日本の状況の中で、「軍隊を持たない」ことを国民の議論と選挙によって実現してきた国に対する関心の高さを実感できたことは良かったです。

塀がなく自由度の高い刑務所でも再犯率が低いこと、コスタリカは医療費が基本的に無料で予防医学が発達していることも驚きです。(事務局 松尾)


講演の動画がこのFacebookページ で見られます(録画機器のトラブルで講演会の途中が抜けています)。

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