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〈レポート〉第35回講座「多文化共生を考えよう」最終回「コロナ禍で見えてきた!? 世界は? 日本は?」

2020.10.25 | カテゴリー:その他のお知らせ

【2020年9月12日(土) 松本市中央公民館】

「多文化共生を考えよう」3回シリーズの最終回「コロナ禍で見えてきた!? 世界は? 日本は??」には、ほぼ定員いっぱいの48人が来場いただきました。ZOOMを利用してのオンラインでも、海外からの方を含めて36人の方にご参加頂きました。

今回は、今後多文化共生社会に直面していく若い方の参加や質問が多く見られました。

第1部 世界はどうしてる? 各国の取り組みとコロナ禍の現状を知ろう!

ドイツの移民政策:丸山雅秋さん

ドイツは、世界で2番目に外国人の流入が多い国。2015年時点で移民の背景を持つ人は総人口の21%を占めている。しかし、ドイツも、過去、外国人労働者は一時滞在を建前とする中、トルコ系労働者の定住化が進み、不安定な地位しか得られず様々な問題を生み出した。また、過去の反省から、移民の社会統合こそが犯罪やテロ等を防ぎ社会の安定に寄与し、活力がある経済を維持するためには移民の受け入れは必要不可欠であると認識された。

そのような認識から、積極的に移民の活力を生かし人資源となる様にドイツ語講座やドイツの歴史・文化・法制度の講座を受ける義務化を行い、市民としてドイツ人と同等の機会を得ることができるように、法整備が2004年移住法として行われた。

さて、国が政策を立て現場で実行するのは、州であり市です。難民は国が扱うが、外国人労働者や移住者は市が扱い、滞在許可も市が出す。

統合政策のため、外国人が一部地域に集中して住むことを避け、分散して町の中に住んでいる。外国人の代表も市議会に参加する。南ドイツのフェルバッハ市では、2015年以来、100人の市民により各問題にあたっている。

<教育・言語><仕事・経済><自由時間・余暇><政治><異文化開放><難民>

融和の為の言語教育は、ドイツ市民学校協会が行い、資金は、州・市・寄付・受講者・EU・労働省によって支えられている。

統合政策の情報発信はスポーツ協会や青年の家・各種教会を通じても行われている。

イギリスの多文化共生:RUZICKA Davidさん

イギリスの人口は約6,800 万人で、移民比率は14%。一番多いのはポーランドとインドからの移民。

1962年までは、英連邦の国民は、イギリスに入国し生活することができた。戦後、イギリス政府は労働者不足を理由に移民を奨励した。

1972年、ウガンダが国内の全てのインド人を追放したため、イギリスに3万人のインド人がやってきました。そのうちの5~6,000人がレスター市に移民した。当初、市は反対していたが、移民の多くはウガンダでのビジネスに成功した人だったため、市の経済は強くなった。現在、レスター市の人口の37%がアジア系で、そのほとんどがインド人。

2004年から3年間で、ポーランド、リトアニア、ルーマニアがEUに加盟し、これらの国からの多くの移民が英国で働くようになった。しかし、ほとんどの移民は依然としてEU以外の国から来ている。

2018年時点で、公立学校に通う810万人の子供のおよそ20%に当たる160万人にとって英語は「付加言語(EAL)」で、家庭で英語を主な言語として使っていない。

Brexit後は、EUの国からイギリスに来て働くことが、今より条件ははるかに厳しくなり、難しくなる。レストランや農場、医療サービスの現場ではすでに労働者が不足している。

韓国 安山市の移民政策事例:李 景煥(Lee Kyonghwan)さん

京畿道安山市は韓国で外国人が最も多く住んでいる。これらの大半が40年前造成された新工業団地に勤務する労働者である。

「労働」の移民資格を持つ外国人が多いため、地域住民との文化的葛藤はもちろん、労働環境内での人権問題が頻繁に発生し問題視されていた。

20年前、民間諸団体が初めて外国人の人権問題を公論化し、地方自治体と中央政府がこれに協力し、様々な教育施策と福祉施策を行い「外国人労働者保護法」が作られ、2009年には、政府により、多文化特区地域に指定された。

現在、地方自治体が主導している、地域マーケティング事業と人権問題を重視する民間団体との間で不協和音を起こしている事が問題視されている。

カナダの先進事例:現地の移民の話を代理報告:松尾 昭さん

移民の比率22%の世界有数の移民国家で、バンクーバーは移民が30%以上。多文化は「日常生活の一部」になっている。

社会・地元の人たち

  • 日常を楽しむ国民性(例:クリスマスのような記念日は何週間も前から飾り付けて楽しむ)で、「外国人が多くなって、どのような町になって行くのかが楽しみ」とポジティブに考える。
  • 年配の方は、特に、他者ににっこりと笑いながら挨拶を交わし、移民者にも優しい関心を見せる。

国の政策

  • 時の政権による変化が大きく、現トルドー首相になってから移民への門が大きく開かれている。
  • 移民受け入れによる人口増加が経済成長率を押し上げている。
  • 「多様性が我々の強み」に沿った教育をしている。
  • カナダも過去には差別や誤った政策(例:中国人に対する「人頭税」)があった。

日本の先進事例:佐藤 友則さん

コロナ禍で浮き彫りになったこと

「すでに日本は移民がいなくては回らない国」。農・建設業等は外国人労働者が入って来なくなり大変な状況。政府も政策変更して対応に奔走。

  1. 東京・新宿区は区民の12.4%が外国由来住民。移民受入先進国並み。若い人が多く、日本の若者にもこの状況を喜んでいる様子が見える。一方、反発もある。
  2. 岐阜県・可児市には「バラ教室」という全国的に有名な外国児童支援の施設がある。来日すぐの全ての外国児童を集め、3ヶ月程度 1)生活日本語 2)日本の学校事情 を教えて、慣れてから地域の小学校に行かせるための集中日本語教室である。
  3. 福岡・柳川市は「やさしい日本語」普及の先進地域。日本人住民がやさしい日本語を学び、「おもてなしバッジ」を付ける。やさしい日本語が分かる外国由来の人は「おねがいしますバッジ」。交流が生まれている。

第2部 日本はどうしてく? みんなで一緒に考えよう(コーディネーター:松本 猛)

第2部では、参加者からの質問に答え、共に考えました。

各国の外国人労働者の労働条件について

ドイツは労働時間など法律で決められている。イギリスも同様。韓国は労働時間は決められているが、外国人労働者が不利益にならないような法制度を作ることが必要だろう。

日本の技能実習制度は最低賃金を下回っている。特定技能(昨年4月から施行)は同一賃金同一労働を謳ってはいるが、本当に行われているかというのは疑問。

文化、習慣の違いによる衝突はないのか、またそれらはどう克服したのか?

ドイツは言語を話せるようになるためのシステムがあり、問題が起きてもコミュニケーションによって解決できるような政策をとっている。また、異なるアイデンティティを持っている子どもに対しては他国との関係を深められるその国の財産という意識がある。
イギリスでは家庭では母語を使うが、学校では英語を使う。英語ができるだけでなく、二つの言語が同時にできるようにできるだけ教育しなければならないので、教諭自身も2ヶ国語できる必要がある。
韓国の安山市の場合は言語が流暢でない労働者たちが多い。民間団体が1週間に1回住民と外国人が一緒に掃除をする機会を作り、参加することで互いの警戒心が少し解けたとの報告がある。
日本はようやく「認定日本語教師」の整備がされつつある状況。

松本の多文化共生についての課題は?

松本には外国由来の人が4000人以上いることを知らない人が多い。中国人・韓国人が2000人いるが、顔だけ見ても外国人とわからないのも一因ではないか。また、そういった人たちの力を地域の力として活かそうという姿勢もまだ見られない。
ドイツは失敗から学び、改善を図りながら共生しているし、イギリスのレスター市は学校での言語教育を丁寧に行い発展していて、それぞれの国が外国人労働者や移民に対してレベルアップできるような政策を行っている。韓国では2007年に移民の法律を作り、国全体で共生を図っていることなどを知ることができた。
日本はすでに外国人労働者がいないと経済など回らない状況にあるが、その現実をどう受け入れ、これからの日本をどう作っていくのか、という日本人の意識がどのように政治を動かしていくかが課題である。

(第2部レポート:事務局 犛山)

 

参加者の感想

言語教育を含めた統合政策が大切だと実感しました。日本はこれがまだまだです。学校での異文化教育もお楽しみだけで終わっており、外国語=英語だと思っている人がほとんどだと思う。様々な分野の方々が一堂に会して学ぶ機会は大切ですね。(松本市 50代 女性)

多文化共生は自分の知らない世界観や日本人には無いタイプの人との出会いであり、楽しいものだと思う。興味のある人たちが出会える場面、機会を増やしていくことで広がっていくと思う。子どもたちへの教育機関で交換留学生の制度を増やし、将来を変えていって欲しい。(安曇野市・40代・女性)

初めて参加させていただきました。確かに、買い物などで外国の方々と会うことが多くなりましたし、小学校のクラスに3人ぐらいはいるようです。毎年増えているように思います。先生方も苦労していることがあるとお聞きました。この現状を受け入れるのは年齢によっても違うと思いますが、カナダのように楽しめるような市民になりたいと思います。自分の子供の友達にも外国籍の子どもがいます。何か目的があったり、良いと思って信州に来てくれたのだから、お互い幸せに生きられるようにしたいと思います。家庭でも考えたいと思います。(塩尻市・50代・女性)

移民対応先進国はそれぞれ歴史的背景や国民性が異なること、政治と社会両方の異文化への前向きな理解と努力が必要で、日本国内でもそれを行って成功している可児市や柳川市の事例があることなど、いろいろ学べたと思います。会場+Zoomのハイブリッド型の講座、しかもスピーカーの佐藤先生もZoomでのご参加ということもあり、難しい運営でした。一部聞きにくかったり見にくかった箇所があったと思いますが、なにとぞご容赦下さい」(事務局 松尾)

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