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〈レポート〉第35回講座「多文化共生を考えよう」第1回「外国人の人たちに聞いてみよう!ニッポンてどんな国?」

2019.10.13 | カテゴリー:講座の記録

【2019年10月6日(日) 松本市大手公民館】

大都市圏ではもちろん、ここ松本でも多くの外国人の方々が住んでいます。今後日本ではグローバル化や人口減少が進んでいく中で、益々多くの外国人が住むようになっていくでしょう。私たちはそんな外国人の方々と共に気持ちよく暮らしていきたいものです。今年度、信州自遊塾は「多文化共生を考えよう」をテーマとして3回シリーズで講座を開催します。

第1回目の今回は、ここ松本地域の外国人の方々がどんな思いで暮らしているのか?彼らの生の声に耳を傾けるところから始めました。 今回はNPO法人CTN(信州多文化共生ネットワーク)の全面協力を得ての開催です。 当日は88名という多くの参加者にお集まりいただきました。

第一部 5か国の外国人からナマの声を聞こう

今回はCTNの理事長で、信州大学グローバル化推進センター教授の佐藤友則さんにスピーカーの人選からインタビュアーまでを務めて頂きました。佐藤さんは08年にCTNを自ら設立し、県内在住の外国人の現状理解では第一人者。佐藤さんならではのインタビューにより、スピーカーの皆さんはより本音をお話しいただけたと思います。 今回スピーカーをお願いした5人の外国人の方々には同じ質問3つにお答えいただきました。

  1. 日本についてどう感じていますか?
  2. 母国では日本をどんな国だと教えられてきましたか?
  3. 日本が外国人の受け入れを増やそうとしている現状についてどう思いますか?

劉 銘傑(日本名:中西玲名)さん 中国出身

劉さんは91年に筑波大学へ留学生として来日。その後同じく留学生として来日した中国人の夫と結婚。夫の就職先として松本に転居して来られました。現在は中国語教師・通訳として勤務。日本国籍も取得しています。

  1. 出身地の甘粛省は乾燥地帯。日本、とりわけ松本は緑が多く山々も美しいことは今でも新鮮に感じている。中国とは違って食品に対する不安がない。私は子供を2人産むことが出来たが、1人っ子政策をとる中国では叶わなかっただろう。日本に来て視野が広がったと思っている。中国に居たままでは得られなかった情報がたくさんある。もっと日本人と気安く話したいと思っているが、言いたいことが直ぐには言いづらい雰囲気があり窮屈に感じることがある。発言する前には根回しが必要だったり、初めての人と会うには紹介者が必要だったり。
  2. 日本は侵略してきた酷い国であり、悪しき資本主義の中核国家だと教わった。抗日戦争の歌が若い時から身近にあった。大人になってからは、そのような教育の政治的意図を理解するようになったので、今は鵜呑みにはしていない。テレビドラマ(おしん、一休さん、鉄腕アトム、アタックナンバーワン)を見て日本にあこがれた。
  3. 来日する技能実習生の通訳をして感じるのは、彼らのストレス・トラブルは言葉よりは価値観の違いに起因することが多い。日本人は相手のことを知ろうとせず、自分たちの流儀を押し付ける面がある。上司先輩が言うことが絶対であり、良かれと思って改善提案しても聞く耳を持ってもらえない。外国人だって当然生身の人間であり、相手の気持ちに寄り添った対応をしてほしい。

その他:劉さんは日本で子育てしたが、思春期の我が子から受けた言動に心を痛めたそう。友人とは違う家族環境を嫌がった娘さんは「親が中国人であることはなるべく隠したいので、授業参観には来ないで」とか「友達のお母さんのように上手に日本食を作って」等の発言も。劉さんが感じた外国人特有の悩み、葛藤を知りました。

三浦エヴェリンさん フィリピン出身

三浦さんは母国で看護師として勤務した後、20年前に来日。日本人と結婚して子供2人の4人家族。現在は小学校で英語を教えています。

  1. フィリピンに比べ日本は寒い国。特に松本は寒く雪にも驚いた。日本は服装やマナーが厳しい国。第一印象で判断され、それが後々まで壁に感じることがある。日本人は感情表現をもっとした方が良いと思う。いつも忙しそうで声を掛けづらい、笑顔で相手の目を見て話して欲しい。職場で校長や教頭との人間関係は悪くは無いが気は使う。お互いに伝えきれない部分があるのではと感じる。敬語や丁寧語が難しい。今は子供に恵まれ幸せな生活を送れている。
  2. あまり詳しく教わらなかったし、歴史教育も無かった。経済発展している国ぐらいのイメージ程度。
  3. 日本にとって良いことだと思う。外国人が増えれば日本人のコミュニケーション能力が上がるのではないか。松本は街中に英語表記も多く比較的外国人には優しい街だと思う。英会話力は東京と比べるとまだ差が大きいが。

その他:フィリピンでは子供を一番大切にするし、子供を一人にすることは無い。日本の子供を見ると、心配になったりかわいそうだなと感じることがある。

堺ソランジェ澄子さん ブラジル出身

堺さんはサンパウロ出身の日系三世。23年前、高校生の時に来日。現在は介護士として勤務。夫もブラジル人。

  1. 経済的に豊かな国。ブラジルに居たままでは今のような給料はもらえなかった。そして治安の良い国。ブラジルでは女性の夜の一人歩きは怖くて出来ない。一方で日本はお金を持っていないと一人前として認められないと感じる。
  2. 日本は先進技術を持っており、戦後復興を遂げた国。日本人は頭が良い人ばかりのイメージがある。事実、ブラジルの日系人は資産家で頭が良い人が多いと感じてきた。
  3. 最初は日本の文化が守られなくなるのではと心配したが、日本は人手不足だから外国人受け入れは仕方ない。来日する外国人に職場を提供していることは良い面だ。外国人をサポートする体制は一定程度整っていると思うので継続してほしい。

その他:介護職は専門用語が多くて大変だが、愛情を持って仕事が出来る職場であり、やりがいを感じている。外国人の中には職場内コミュニティだけあれば十分と考えている人もいる一方、職場以外にも視野を広げて頑張る外国人もいる。日本人はそのような人を是非サポートして欲しい。

松尾チョンヒさん 韓国出身

ソウル出身の松尾さんは30年前に来日。日本人と結婚した後、松本に移住。今は子育てもひと段落し生活が落ち着いてきた。夫婦喧嘩も減り充実した第二の人生を送っているとのこと。

  1. 日本の第一印象は緑の多い優しい国。30歳で来日して以降、差別されたことは一度もない。韓国で抱いていた日本に対するイメージと現実とのギャップを辛いと思うこともあった。日本人は何でも頑張り過ぎる傾向がある。規則も何としても守ろうとする。町内の掃除も皆がきちんとやるのできれいで良いが、一方ではストレスを感じている人もいるのではないか。何でも計画を立てないと気が済まない国民性。もう少しアバウトな部分もあった方が良い。
  2. 日本は怖い国と教えられてきた。泣いている赤ちゃんは“日本の警察が来るよ”と言えば静かになるぐらいに。日韓両国がお互いに非難しあっている現状を憂いている。
  3. 自分には良く分からないが、これからは中国や韓国も人手不足になってくると思うので、日本が他の国と比べて魅力がなければ外国人は集まらないのでは。外国人を見ていて思うのはその子供のこと。子供には良い環境で育ってほしい。

その他:外国人から見ると日本人は話しかけづらいが、話せばとても優しい人が多い。もっと日本人から話しかけたら良いのに。

チャン・マイ・フーンさん ベトナム出身

チャンさんは2014年に来日して広島の日本語学校に入学。その後、信州大学に入学し経済学を専攻し現在は4年生。来春からは県内企業に就職予定です。

  1. 日本は原則として人を信じ過ぎだと思うが、私には心地よい。ベトナムでは万引き防止の為、デパートに私物カバンを持ち込めない。日本人は怖い顔をしている印象だったが接してみると意外と優しかった。アルバイト先にあるマニュアルは面倒な面もあるが、覚えるのが早い点で良い仕組みだと思っている。
  2. 日本のことはあまり習わなかった。がイメージとしては良い電化製品を作る国、軍事力が強く経済発展している国。日本もベトナムに進駐したことがある怖い国ではあるが、フランスやアメリカのイメージの方があまりにも悪いため強い印象は無い。その後は経済支援してくれたので良いイメージを持っている人が多いと思う。
  3. 日本、外国人の両方にとって良いことだと思う。

その他:日本人は外国人に対しては平易な日本語(Yes・Noをはっきり、敬語は使わない)を心がけて欲しい。日本人も友好の気持ちを持って外国人のことを学んでほしい。一見理解できない行動があってもまずは話しかけ、真意を聞いてほしい。

第二部 質疑応答

休憩をはさんで第二部は、講座来場者からの率直な質問に対してスピーカーの皆さんにお答えいただく時間としました。

質問① 日本の良いところ(良)、悪いところ(悪)はどこか。外国人は日本のどこに魅力を感じて来日するのか(魅力)。
答:(良)些細なことでも真剣にやる、最後まできちんとやるところ。約束は守る。信頼を前提に社会が成り立っている。勉強熱心な人が多い。
(悪)空気を読んで接しないといけない。周囲に気を使い過ぎて疲れている人がいる。不審者と見られたくないからか、他人に対して無関心。意思表現が曖昧。
(魅力)当時の韓国には無かった旅行の自由があった。韓国には無い良い絵本が日本にはあった。

質問② どうしたら日本人と上手くコミュニケーションが取れるか?(英国出身の女性英語教師からの質問)
答:外国人はとにかく話しかけたり、質問してみるしかない。そうすれば大抵の日本人は真剣に答えてくれる。料理(餃子とか)を持参してみると、翌日には必ず反応がある。お返ししてくれたりする。

質問③ 外国人として、日本人に望むサービスはあるか?役所の書類は日本語ばかりで困っているのでは?
答:日本人は困ったときには質問さえすれば、真面目に向き合ってくれると感じている。それを続けてほしい。

最後にインタビュアーの佐藤さんからの発言を抜粋します。

  • 日本人は優しい人が多いと言ってはもらえたが、本当に仲間として受け入れる気持ちのある人はまだ少ないのではないか。
  • 今日のスピーカーは日本に好意的な印象を持っている人が多かったが、アジア人を下に見る日本人感情は根強い。差別を受けている外国人は確かにいる。彼らは声を挙げなかったり、日本に根強い反感を持ったまま帰国してしまったりする。生活面でも精神面でも追い詰められ、自殺したり犯罪をする人も稀にいる。
  • 外国人が増えることで日本の文化が壊されるのではと心配する人がいるがその心配は無用。日本は昔から様々な文化を上手く取り入れて来た国。
  • 日本の外国人受入れ政策は多くの省庁に亘っているが、反面、大きなビジョンがないと感じる。
  • 日本人がどのように接するかと同様に、外国人自ら動くことも大事。

感想

今回の外国人スピーカーの皆さんは総じて日本に対して好意的な発言をされる方が多く、少し安堵しました。今回は女性5人でしたが、女性の方が周りとのコミュニケーション能力、適応力が高い傾向があるのかもしれません。日本人がどのように外国人の方々と接したらよいか、そのヒントを多く得られた講座だったと思います。
一方で今日のスピーカーの皆さんとは違い、外国人の中には日本で深刻な生き辛さを感じている人もきっと居ることも心に留めておく必要があると思います。

今回の講座を運営して今までとは大きく違った点は10代、20代の若い人たちの参加が多かったこと。受け取ったアンケートからは今回のテーマを自分のこととして真剣に考える姿が見られ、とても頼もしく嬉しく感じました。(記録:富取)

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